幽世の花 2025.09.07 障子越し、淡い春の日差しが差し込む部屋で、一人の青年が静かに正座している。やや日焼けしているもののイグサの香りを残した畳の上には、白地に青の釉薬がつややかな陶器の器に水が張られていた。青年は手に持ったハサミで花の茎を切り、花器に据えられた剣山へ花を生けていく。次の花を手に取り、ふと鼻先をかすめた
露青の日記_02 2025.08.15 ご近所の田中さんからスイカをいただいた。大層立派なのを丸ごと一玉、姉上曰く「2人で食べなさい」とのこと。わたしの腹ではあまり涼を食べられないのだが……姉上は書き置きに「わたくしの分も残しておいて」と書いてきた。ずいぶんわんぱく扱いされている気がする。切り分けて少しかじったら、甘くて体の火照
露青の日記_01 2025.08.11 誕生日を機に、日記を書くことにした。日付は飛び飛びになるだろうし、続くかもわからないが、思い付いたときに思い付いたことを書く。買ったばかりの日記帳は少し書きづらい。本の形をしたものに、横書きというのも慣れない。だが、自分の書いたものがひとかたまりの手に取れる形になると考えるとくすぐったいも