ミント足バケツ

私の部屋には、折りたたみができる四角いバケツがある。

昨年の夏、在宅での仕事が発生して、エアコンの風が当たるベッドに転がり続けるわけにもいかない時間を過ごすことになったのだ。

机の下にバケツを仕込んで、冷水に足を浸して作業をする。ちゃぷちゃぷ音を立てながら画面を眺めるのは、出社していてはできないことだからだろうか、そこはかとない背徳感があった。

近頃の情け容赦ない酷暑に対抗できるようなものではなく、冷房と併用のうえ凍らせた大きな保冷剤を投げ込んでおいても、一時間もせずに水がぬるくなる。空気よりも水の方が熱を伝えやすいので、水に浸っているだけで体温が逃げやすいとはいえ、同じ温度になってしまってはなんの効果も見込めない。

儚い涼だ……と思って終えた昨夏から一年。私は自分が持て余す程のハッカ油を持っていることに思い至った。バケツにたっぷりの水へハッカ油を垂らし、足を入れる。案の定温度的にはすぐにぬるくなっていくのがわかったが、水からひきあげた後も、足はひんやりとさわやかで、長く楽しめる涼になった。

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